読書感想 かもめのジョナサン
リチャード バック (著), Richard Bach (原著), 五木 寛之 (翻訳)
かもめのジョナサン、名前はよく聞くけれど有名なんだろうなーと思いつつ今まで読んだことが無かった。
よだかの星的なものを想像してた。
もしくは第三者の人間の視点に寄る変わったカモメの観察物語的な話だと思ってた。
全然違った。
☆物語の内容
若いカモメジョナサンは自らの人生を餌を漁ることではなく、早く飛ぶことに意義があると見出し、仲間たちの失笑や失望を買いながらひたすら毎日飛ぶ練習に明け暮れる。
ここでジョナサンが両親に咎められたり、まともなカモメになれと言われているところが絵本チックだった。
途中で高いところから飛び降りて300キロで飛び始めたけれどまあ目を瞑った。カモメの体感からすれば80キロでもそのくらいの負荷がかかるのだろう、きっと。
ジョナサンは飛ぶ練習の果てに仲間たちの群れに高スピードで突っ込んで幸いにも死人(死鳥?)は出なかったが長老の怒りを買いジョナサンは群れを永久追放される。
ジョナサンがなんでだ!?って驚愕していたけれど群れにそんな突っ込んだら普通にダメだろ。暴走車レベルだよ。
彼が通報された理由は他のカモメを殺しかけたから……ではなく、ヤバイ飛行ばっかりしてるから。
ジョナサンは群れから追放されてストイックにひとり飛ぶ練習を続ける。飛ぶ喜びや向上心に目覚めていたお陰でジョナサンはカモメの寿命よりもはるか長く生きることになる。
そんなある日、ジョナサンの元に二羽の超飛ぶのが上手いカモメがやってくる。
そのカモメがジョナサンを飛ぶことだけを考えるカモメたちの群れに連れて行く。
この群れは全員元居た群れから離れてやって来た飛行狂のカモメたち。そこの長老カモメは仙人級にすごいらしい。
長老が瞬間移動したり地球ではない惑星にワープし始めた時点でもうこれは童話だとかカモメの話だとかそういった言い訳をしながら読むのをやめた。もう何も考えなくなった。さらに飛ぶ修行を積み考え方を解放すれば過去や未来にも飛べるらしい。すげー。
修行を積んでジョナサンは超飛べるようになって長老からエールをもらい長老は自らの使命を全うして寿命により死ぬ。散り際に光り輝いて神々しく消えたけどもう何も言うまい。
ジョナサンは追放された元いた群れの鳥に飛ぶ喜びを伝えたい……と思い彼らの元へ飛び立つ。そこには同じくかつてのジョナサンと同じく飛ぶことに憧れている若きカモメが一匹いた。
ジョナサンは彼に飛ぶ手ほどきを始める。
彼から始まりやがて数羽、ジョナサンに付いて行くカモメが現れる。
なんやかんやあって最終的にはジョナサンの一番弟子が死んだけれど飛びたいという願いから復活したり、翼の片翼ないカモメが飛びたいという気持ちだけで飛べるようになったりしてジョナサンはカモメの群れから神か!?悪魔か!?と恐れられる。
ジョナサンは「神になりたいんじゃない、自分と同じように飛びたい者を残したいだけだ(意訳)」とそう弟子に告げる。また自らの寿命が来ることを悟り一番弟子に自分の意志を託して光となり消えるのであった——
END
すごい話を見つけてしまった……
途中もはや宗教勧誘の冊子レベルだった。
瞬間移動って。少年誌の修行内容じゃん。ジョナサンジョースターじゃん。
これ出版した1970年当時は売れなくてしばらくしてからヒットしたそうだけれど「やべーカモメの本があるぞ」って流行ったんじゃないかなあ……
序盤のジョナサンの飛び方に対する姿勢や考え方は自己啓発本を物語調にしているようでチーズはどこへ消えた?を読んでいる感覚だった。後半は言わずもがな宗教本。
これが分厚い本だったら辛いけど数十ページなので読み切れた。
今度鳥好きな友人にも「可愛いカモメの本だヨー」って言って勧めてみよう。